Readers'Network所属団体のメンバーが書いたプチ書評
大学生協のメールマガジン、withnaviにて配信中。
『社会は情報化の夢を見る』
佐藤俊樹 河出文庫
「情報化技術が未来を変える!」「社会を変える!」「これぞ革命!」なんて
聞き飽きた決り文句の羅列、目にするのは何回目?
理解しているようで理解していない、技術と社会の関係。「変える」って、
一体どれぐらい言われてきて、どれぐらい変わっていないのかな。
「疑う」という知の基本。忘れていませんか、僕たち。
『人身御供論』
大塚英志 角川文庫
ムラ社会の消滅がもたらしたものは、つまり「外界」の消滅でもあった。
ムラの論理を維持するために言われてきた、説話、民話、エトセトラ。
しかしそのムラと外界の境界は、僕たちが成熟するために必要な、
「超えるべき存在」でもあったわけだ。「父」のように。
民俗学から読み解く「通過儀礼」と「人身御供」の関係性。
『コケの自然誌』
ロビン・ウォール・キマラー 築地書館
研究者である著者がコケの魅力を語り尽くしたエッセイ風ノンフィクションで
ある。不思議な生態や美しい形状、ヒトとの繋がりについて読んでいくうち
に、コケの世界の雄大さに驚かされるだろう。苔むした表紙にビビッときた人
もそうでない人も、ワクワクするような描写に心奪われるに違いない。足も
との緑に近づきたくなる一冊。
『進化で読み解くふしぎな生き物』
北海道大学CoSTEPサイエンスライターズ 技術評論社
変な生物を紹介する本は数あれど、この本ほど生物学的に切り込んだ本は
無いのでは。「-移動する植物- ウォーキングパーム」「-シロアリをだます
カビ- ターマイトボール」といった魅力的な生物を取り上げながら、
進化生態学の概要をガッツリ学べる本である。解説用キャラ「トモアルキ」
の可愛さに癒されながら、生き物の世界の奥深さを感じて欲しい。